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株式会社大学教育研究所
 
 

我が社の社会への独自アングル(視点)


私どもの会社は、その会社名どおり“大学教育”に関わる出版や広報メディアづくり、取材や執筆、資料分析、コンサルティングなどが全体の業務や売上げの九割超を占める特異な出版・編集制作会社です。

とは言っても、私どもは決して「特殊な」専門領域を取り扱っているわけではありません。教育は、政治も経済も科学も福祉も雇用もスポーツも芸術も含む「総合」ジャンルで、幅広い知識や切り口、関心を必要としています。

とりわけ、その最上階に位置する大学教育は、実に多角的な視点やテーマ、問題点、改革の動きなどがあり、これまで以上に社会的存在になりつつあります。初めての「取材メモ」ですので、自己紹介を兼ねて、私どもが行っている活動の中の一端を紹介しようと思います。

 
国会議員数から見える大学の浮沈

国会議員というのは、選良と呼ばれながら、必ずしも尊敬を集めるだけではなく、さまざまな毀誉褒貶の対象にされ「いじられてしまう」存在です。しかし、人格・識見・行動力など人間としての総合力が問われる職業だけに、親の七光りや代々の地盤で当選した場合でも、何度か当選を続けるうちに、トータルとして選ばれるに足るだけの「人材」が集まっていることは否定できません。

では、その国会議員を「大学」という切り口、つまりは「出身大学別」に見ると、どんな分布(=ランキング)になるのか?当選回数や年齢等の特色は?当選者数の伸び方や初当選者の占有率は? といった問題意識が私どもの独自の視点になります。それを通じて、それぞれの大学が輩出する人材の特性、教育システムや伝統気質との関連、ひいては個々の大学自体の元気度や実力ぶりを点検して見ようというわけです。

たとえば、最近行われた国政選挙、昨秋(9/11)の第44回衆議員総選挙の出身大学別当選者数の勢力分布は、別表のとおりです。
表
そこでは、当選者数を前回よりも伸ばしたこと、前回より当選者の平均年齢が大きく若返ったこと、さらには無謀といわれた解散を仕掛け、作・演出・主役を演じた小泉純一郎も、結果的にそれを助演した造反組の主要メンバー(綿貫民輔・平沼赳夫・保利耕輔ら)がことごとく慶大出身者だったことから、この選挙での主役は慶応義塾大学、まるで慶応の一人舞台であったかのような感があります。
 
退潮と上げ潮を生む要因

一方、衆参を問わず、また当選者人数にこそ差があるものの、過去の国政選挙において、変わることなく上位を占めてきたカルテットがあります。国会議員輩出大学の[四天王]とでもいうべき、東京大学・早稲田大学・慶応義塾大学・中央大学の4大学です。この4大学で、衆参の国会議員の半数強を占有するほどであり、さらに司法試験や公認会計士試験などの難関国家試験における合格者数、民間会社における採用人数や採用率序列などでも覇を競ってきたライバルでもあります。その意味において、卒業生規模や社会的は影響力の大きさから日本社会をリードしてしてきた存在といえます。

もちろんこの4大学にも、このところ退潮を余儀なくされている大学もあります。逆に、4大学の実績には及ばないものの、この数年来当選者人数を伸ばした大学もあります。日本大・上智大・学習院大・立教大等がその代表格ですが、これらの大学に共通するのは、カリキュラムの「総合性」や「教養教育」を志向する大学群であること。つまり、政治家に求められる「総合型人材」が育ちやすい風土ができつつあるという見方も可能なわけです。